第7回 澄和Futurist賞 表彰式の様子
10月8日(澄和の日)に毎日新聞紙面を通じて発表した第7回澄和Futurist賞(主催/一般財団法人 澄和、後援/毎日新聞社)。
その表彰式を去る2022(令和4)年10月27日(木)に東京都千代田区内・東京會舘にて開催しました。
3組の受賞者の皆さまをお迎えし、また、来賓として財界をはじめ、公益法人、スポーツ界や芸能界などから約200名の方々が出席され、賞のサブタイトルにあるとおり、和やかな式典となりました。
澄和Futurist賞は、「人の和」「自然との調和」も含めた広義の平和関連テーマに地道に取り組む方々を応援するためのものです。今回も「国際支援」「平和」「自然」などの幅広い分野にまつわる方が受賞されました。
一般財団法人 澄和がめざす「和む世界」とはすべての命が尊重され、共存する環境。この顕彰事業を軸に他の事業と組み合わせながら、私たちが描く「和む世界」の実現に向けて様々な方々と手を携えながらじっくりと取り組んでいきます。
引き続き澄和の活動にご注目ください。よろしくお願いいたします。
受賞者の皆様からのコメント(要旨)
黒柳 徹子様ユニセフの親善大使をやっておりますと、いかにたくさんの人が子供に対してあまり関心を持ってないかということに気がつきます。私が行きました国々では子供が栄養失調になり、予防注射をしていないことから伝染病になったりもします。本当にかわいそうな子どもがたくさんいます。食べ物がなく、親もいなくなり、さまよっているような様子を見るともう本当にどうしたらいいんだろうって思ってしまいます。その国の子供たちがどういう状況に置かれているかを皆様にお伝えするのが役目ですが、30年40年と続けてまいりましたので、これからもできる限り続けていきたいと思います。最初の訪問の次に行ったインドでの出来事です。破傷風という病気にかかり、体がカチカチになって死にかけてる十歳くらいの男の子がいました。その子にそばに行き、日本語で「先生が一生懸命治療してくださるんだからがんばってね」と言ったら、その子が私のことを見ながら喉の奥で何か言ったんですね。筋肉の硬直のせいでうまく喋れないってわかったので、看護師さんにこの子は何て言ったんですかと聞いたんです。そしたら「あなたの幸せを祈ってます」と言っていると教えてくれました。自分が今死にかけているのに、そんなことを子供って言うんです。私たちは自分が具合悪い時に、なかなか人にそんな風には言えないものです。それ以来私は子供たちのために働くことにしようと決めました。色々と大変なところを見てきましたけれど、私も子供の頃、戦争を経験したのでわかります。だからこそ、子供達に辛い思いをさせないようにみんなでがんばって平和をずっと守っていきたいと思っています。今日は素晴らしい賞を頂いて本当に心から嬉しく思っております。こういう賞をお作りになったことに対しても心から感謝いたします。
アーサー・ビナード様思いがけない嬉しい受賞のお電話を頂いた時からこの「未来」というものについて考えました。詩人なので言葉に拘るところがあって、「フューチャリスト」とは、未来を考える人かなと思ったんですが、辞書で調べたら実は面白い意味が含まれていることがわかりました。一つは「人類の進歩を信じる人」。もう一つは、「キリストの最後の審判でこの世がもうすぐ終わるから、悔い改めなさいと言う人」。どちらにも取れると、このネーミングはうまく考えましたね。人類は退化してるように感じたりします。数年前からいわさきちひろさんの絵で絵本を作ろうとしていますが、受賞のお知らせの後、ちひろがどういう風に未来をとらえていたか気になり、この言葉が見つかりました。「どんどん経済が成長してきたその代償に、人間は心の豊かさをだんだん失ってしまうんじゃないかと思います。私は私の絵本のなかで、いまの日本から失われたいろいろなやさしさや、美しさを描こうと思っています。それを子どもたちに送るのが私の生きがいです」と。半世紀も前の危機感です。いわさきちひろの中で響くのはイノベーションとは無縁のもの。テクノロジーに満ちた未来を輝かしいものとして描いたことは一度もないんです。昔からぼくらが持ってる大事なものを描く、ぼくもそういう表現をしたいなと思います。今回ヒロシマについての関わりと表現を評価していただきました。原爆が落とされた後あっという間にあの核分裂が、今度は未来のエネルギーとして「平和利用」のパッケージに包まれて売り込まれたのが原発。そんな平和ならぼくは反対です。そんな未来はいりません。もちろん、人間が永く生きながらえることには大賛成で……ぼくの未来の感覚はそんなところです。最後に20年前に書いた詩を読みたいと思います。——————————-□ねむらないですむのならぼくらがもしねむらないですむのなら仕事も勉強もどんどんはかどって各分野で技術がめざましく進歩し能率が上がって産業は躍進をとげるだろうもしぼくらがほんとうに睡眠を必要としないからだになっていたならいつもフルに働いて森林がみな伐りたおされ海も放射能のスープと化して産業廃棄物にうずもれてとっくにぼくらは永遠のねむりについたろう———————————-永遠の眠りにつく前にやるべきことがいっぱいあります。未来には、テクノロジーじゃなくてぼくら人間の、生き物としての力が必要です。「バーチャル」に惑わされず、みんなで力を合わせれば千代に八千代に豊かな世界を作り続けることができると思います。
皆さん本当にありがとうございます。
皆さん本当にありがとうございます。
野瀬 秀拓様今日はこのような光栄な賞を頂いて信じられないくらい感動しております。
私は水車大工で、エンジニアですが、水車は自分の経験から生みだしたものでなく、必ず森があり、水があり、水車を発注する人々、その水車を利用する人があって成り立つ仕事です。しかもこの技術というのは、私達の先祖が代々伝えて磨いてきた技術です。
その昔から伝えていただいた技術を大事にし、それを後世に受け継ぐとしています。その中でいまこの技術を伝える伝え方が本当に難しくなりました。どうしても昔みたいに一子相伝、口伝えということは難しくなったんです。より多くの人に技術を見てもらい、これを認めてもらい、伝えなくてはなりません。
本当に今職人というのは瀕死の状態にあります。それを今後どういうやり方で後に残し、人を育てながら伝えていけるかということに全力を注いでいきたい。
また形だけの水車ではなく、その内容、その利用価値までも含めたものを残しながら引き継いでいきたいと思います。
本当に今日はありがとうございました。
私は水車大工で、エンジニアですが、水車は自分の経験から生みだしたものでなく、必ず森があり、水があり、水車を発注する人々、その水車を利用する人があって成り立つ仕事です。しかもこの技術というのは、私達の先祖が代々伝えて磨いてきた技術です。
その昔から伝えていただいた技術を大事にし、それを後世に受け継ぐとしています。その中でいまこの技術を伝える伝え方が本当に難しくなりました。どうしても昔みたいに一子相伝、口伝えということは難しくなったんです。より多くの人に技術を見てもらい、これを認めてもらい、伝えなくてはなりません。
本当に今職人というのは瀕死の状態にあります。それを今後どういうやり方で後に残し、人を育てながら伝えていけるかということに全力を注いでいきたい。
また形だけの水車ではなく、その内容、その利用価値までも含めたものを残しながら引き継いでいきたいと思います。
本当に今日はありがとうございました。
表彰式・パーティーの様子
これまでの受賞者の皆さま
<第8回>
坂本 龍一様(当日代理 エイベックス・エンタテインメント副社長 若泉 久央様)
宮本 亞門様
大石 芳野様
叶 匠壽庵(社長 芝田 冬樹様 当日代理 御令息 芝田 元太様)