第9回 澄和Futurist賞 表彰式の様子
10月8日(澄和の日)に毎日新聞紙面を通じて発表した第9回澄和Futurist賞(主催/一般財団法人 澄和、後援/毎日新聞社)。
その表彰式を去る2024(令和6)年10月29日(火)に東京都千代田区内・東京會舘にて開催しました。
3組の受賞者の皆さまをお迎えし、また、来賓として財界をはじめ、公益法人、スポーツ界や芸能界などから約230名の方々が出席され、賞のサブタイトルにあるとおり、和やかな式典となりました。
澄和Futurist賞は、「人の和」「自然との調和」も含めた広義の平和関連テーマに地道に取り組む方々を応援するためのものです。また、今回は「平和」分野について活動を続けてこられた方へ贈賞する『澄和平和活動賞』も創設いたしました。
一般財団法人 澄和がめざす「和む世界」とはすべての命が尊重され、共存する環境。この顕彰事業を軸に他の事業と組み合わせながら、私たちが描く「和む世界」の実現に向けて様々な方々と手を携えながらじっくりと取り組んでいきます。
引き続き澄和の活動にご注目ください。よろしくお願いいたします。
受賞者の皆様からのコメント(要旨)
【澄和Futurist賞】
佐渡 裕様大変大きな賞をいただいて嬉しく思っています。ベートーヴェンの第九の『歓喜の歌』を、おめでたい曲だと思っていらっしゃる方は多いと思います。この曲はとても激しい、不協和音のファンファーレで始まり、「おお友よ、歓びとはこんなことじゃないんだ。もっと心地よい音を奏でようじゃないか!」という歌詞から歌が始まります。実はこの冒頭部分だけがベートーヴェン自身の作詞です。そして「すべての人が一つになる、すべての人が平和になる、そういう世界でありたい」と歌ったその後に、あの有名な『歓喜の歌』が続きます。そして最も大事なのはこの後に「抱き合いなさい」という言葉が出てきます。そして、互いに抱き合うことが出来なければこの歓びはやってこない、と厳しい言葉で宣告されるのです。ここに第九の大きな意味があるんですね。
今世界中で紛争や戦争が続き、人々の分断があり、自然災害が起こっています。第九は200年前に作られた曲ですが、まさしくベートーヴェンが今の我々のために遺した曲ではないかと思います。
数年前とても嬉しい話がありました。友人から「佐渡さんシリアの映画に出てたよ」と電話がかかってきたのです。聞けば、内戦下のシリアの地下病院で働く医師のドキュメンタリー映画で、麻酔もない中で負傷した患者の手術を終えた医師が、仲間の医師たちに大仕事を終えた癒しにと言ってYouTubeをクリックして見せた映像が、私が指揮している『1万人の第九』の動画だったのです。
この『1万人の第九』ですが昨年は7歳から最高94歳の方が出演しています。25年で延べ25万人の方と第九をやってきたわけですが、大阪で演奏した我々の音楽がシリアの人たちに癒しや勇気を届けられたと知った瞬間でした。
平和というのはすごく大きなテーマです。僕が指揮する1回の第九の演奏は本当に微々たることですが、こうした澄和の活動と同じように、少しずつの活動が平和につながっていくのではないかと思います。
来年は戦争から80年、そして阪神淡路大震災から30年という大きな節目を迎えます。この賞を胸にまた音楽で感動を届けられたらと思います。
佐渡 裕様大変大きな賞をいただいて嬉しく思っています。ベートーヴェンの第九の『歓喜の歌』を、おめでたい曲だと思っていらっしゃる方は多いと思います。この曲はとても激しい、不協和音のファンファーレで始まり、「おお友よ、歓びとはこんなことじゃないんだ。もっと心地よい音を奏でようじゃないか!」という歌詞から歌が始まります。実はこの冒頭部分だけがベートーヴェン自身の作詞です。そして「すべての人が一つになる、すべての人が平和になる、そういう世界でありたい」と歌ったその後に、あの有名な『歓喜の歌』が続きます。そして最も大事なのはこの後に「抱き合いなさい」という言葉が出てきます。そして、互いに抱き合うことが出来なければこの歓びはやってこない、と厳しい言葉で宣告されるのです。ここに第九の大きな意味があるんですね。
今世界中で紛争や戦争が続き、人々の分断があり、自然災害が起こっています。第九は200年前に作られた曲ですが、まさしくベートーヴェンが今の我々のために遺した曲ではないかと思います。
数年前とても嬉しい話がありました。友人から「佐渡さんシリアの映画に出てたよ」と電話がかかってきたのです。聞けば、内戦下のシリアの地下病院で働く医師のドキュメンタリー映画で、麻酔もない中で負傷した患者の手術を終えた医師が、仲間の医師たちに大仕事を終えた癒しにと言ってYouTubeをクリックして見せた映像が、私が指揮している『1万人の第九』の動画だったのです。
この『1万人の第九』ですが昨年は7歳から最高94歳の方が出演しています。25年で延べ25万人の方と第九をやってきたわけですが、大阪で演奏した我々の音楽がシリアの人たちに癒しや勇気を届けられたと知った瞬間でした。
平和というのはすごく大きなテーマです。僕が指揮する1回の第九の演奏は本当に微々たることですが、こうした澄和の活動と同じように、少しずつの活動が平和につながっていくのではないかと思います。
来年は戦争から80年、そして阪神淡路大震災から30年という大きな節目を迎えます。この賞を胸にまた音楽で感動を届けられたらと思います。
【澄和Futurist賞】
高橋 陽一様このたびは素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございます。漫画というジャンルの文化がこうやって認められたということは大変うれしく思います。
実はさきほど表彰いただいた際、理事長が読み上げる表彰状の文言を聞いている時に泣きそうになりました。改めて自分がやってきたもの、漫画一筋にやってきた功績を評価されるというのはうれしいことなんだと実感しています。
この『キャプテン翼』という作品の中で、今回の受賞のきっかけにもなった、翼くんがワールドユースで優勝した時にスピーチで発した「サッカー世界平和宣言」というものは、僕が漫画を描く上での一つのテーマにもなりました。それまでは夢を持って頑張ることだったり、仲間と共に闘うことの大切さや、一つのことに一生懸命努力することなどを漫画のテーマとして掲げていたんですが、このシーンを描くことによって、世界平和ということも一つの大切なテーマになりました。それはこれからも創作活動の中で続けていきたいと思っています。
『キャプテン翼』の物語はまだまだ続いていきますので、素晴らしい賞をいただいたのをきっかけに、さらに頑張っていきたいと思っています。本日は誠にありがとうございました。
高橋 陽一様このたびは素晴らしい賞をいただき、本当にありがとうございます。漫画というジャンルの文化がこうやって認められたということは大変うれしく思います。
実はさきほど表彰いただいた際、理事長が読み上げる表彰状の文言を聞いている時に泣きそうになりました。改めて自分がやってきたもの、漫画一筋にやってきた功績を評価されるというのはうれしいことなんだと実感しています。
この『キャプテン翼』という作品の中で、今回の受賞のきっかけにもなった、翼くんがワールドユースで優勝した時にスピーチで発した「サッカー世界平和宣言」というものは、僕が漫画を描く上での一つのテーマにもなりました。それまでは夢を持って頑張ることだったり、仲間と共に闘うことの大切さや、一つのことに一生懸命努力することなどを漫画のテーマとして掲げていたんですが、このシーンを描くことによって、世界平和ということも一つの大切なテーマになりました。それはこれからも創作活動の中で続けていきたいと思っています。
『キャプテン翼』の物語はまだまだ続いていきますので、素晴らしい賞をいただいたのをきっかけに、さらに頑張っていきたいと思っています。本日は誠にありがとうございました。
【澄和平和活動賞】
神田 香織様本日は平和活動賞という身に余る賞を頂戴いたしまして、本当にありがとう存じます。世界的に知られているお二方と違い、講談は日本人でも知らない人が多く、講談師も全国で80人しかいません。その狭い講談界の中で、「戦争反対」、「人はこうあるべきだ」、「みんな対等、平等、幸せに生きようよ」という社会派的な演目をやっている地味な存在の私をこうした素晴らしい賞に選んでいただいたのは本当に奇跡で、夢のようです。
昨年二月、広島市教育委員会が小学生の平和ノートから『はだしのゲン』を削除することを知り、私はびっくりしました。物語の中で、ゲンはお父さんに毎日のように言われます。「子どもたちよ。麦は踏まれるたんびに強くなる、麦のように生きるんだ」。それを自分のものとして、どんな境遇にも前向きにパワフルに立ち向かってゆく。これは子どもさんにとって、最も必要な教育ではないかと思ったからです。すぐに広島に行き、『はだしのゲン』がどれほど素晴らしい作品か、皆さんに講談を聞いていただきました。その後は全国各地でも、講談を一席聞いていただいたあとに、私からお願いしてトークという形で、戦争体験者の方や20代、30代の若い方に壇上に上がっていただき、戦争や今の日本の政治、そして自分たちが考える幸せについて、語っていただいております。一人ひとりが平和を強く思う気持ちになっていただくことが大切だと思うからです。
講談『はだしのゲン』には、リアルな描写が出てきます。無念の思いで亡くなった皆様がどんなにお辛かったろうか――聞いてくださる方の五感に訴える、それを私は生涯のテーマとして語らせていただいています。
来年は戦後80年。全国やできれば世界で戦争と原爆の現実を訴えていきたいと思っている矢先に頂戴した『澄和平和活動賞』、こんなに力強い応援団はございません。人生100年、私にはあと30年残っております。多くの人に支えられて、声が続く限りがんばってまいります。
神田 香織様本日は平和活動賞という身に余る賞を頂戴いたしまして、本当にありがとう存じます。世界的に知られているお二方と違い、講談は日本人でも知らない人が多く、講談師も全国で80人しかいません。その狭い講談界の中で、「戦争反対」、「人はこうあるべきだ」、「みんな対等、平等、幸せに生きようよ」という社会派的な演目をやっている地味な存在の私をこうした素晴らしい賞に選んでいただいたのは本当に奇跡で、夢のようです。
昨年二月、広島市教育委員会が小学生の平和ノートから『はだしのゲン』を削除することを知り、私はびっくりしました。物語の中で、ゲンはお父さんに毎日のように言われます。「子どもたちよ。麦は踏まれるたんびに強くなる、麦のように生きるんだ」。それを自分のものとして、どんな境遇にも前向きにパワフルに立ち向かってゆく。これは子どもさんにとって、最も必要な教育ではないかと思ったからです。すぐに広島に行き、『はだしのゲン』がどれほど素晴らしい作品か、皆さんに講談を聞いていただきました。その後は全国各地でも、講談を一席聞いていただいたあとに、私からお願いしてトークという形で、戦争体験者の方や20代、30代の若い方に壇上に上がっていただき、戦争や今の日本の政治、そして自分たちが考える幸せについて、語っていただいております。一人ひとりが平和を強く思う気持ちになっていただくことが大切だと思うからです。
講談『はだしのゲン』には、リアルな描写が出てきます。無念の思いで亡くなった皆様がどんなにお辛かったろうか――聞いてくださる方の五感に訴える、それを私は生涯のテーマとして語らせていただいています。
来年は戦後80年。全国やできれば世界で戦争と原爆の現実を訴えていきたいと思っている矢先に頂戴した『澄和平和活動賞』、こんなに力強い応援団はございません。人生100年、私にはあと30年残っております。多くの人に支えられて、声が続く限りがんばってまいります。
表彰式・パーティーの様子
これまでの受賞者の皆さま
<第8回>
坂本 龍一様(当日代理 エイベックス・エンタテインメント副社長 若泉 久央様)
宮本 亞門様
大石 芳野様
叶 匠壽庵(社長 芝田 冬樹様 当日代理 御令息 芝田 元太様)